開催日:2024年5月22日(水)13:00~14:50 <Web開催>

 新たな都市創造会議は、"世界の未来への貢献"と"知と文化の創造"をビジョンに掲げて策定した「新たな都市創造プラン」を推進していくため、20164月に設置した「けいはんな学研都市」のネットワーク型運営体制です。

 第8回となる今年の総会は、昨年に引き続きオンライン開催となりましたが、国土交通省をはじめ国の9機関、9自治体、8大学、14研究機関のほか、財界・民間企業・地元まちづくり団体などをあわせて約60名の顧問、委員にご出席を頂きました。冒頭に関西文化学術研究都市推進機構の堀場理事長から、本都市の概況紹介とさらなる成長と新たなビジョンに向けた提言を頂くよう挨拶があり、①本都市の近況として全体的な進捗状況と関係自治体からの近況報告、②イノベーション推進の進捗状況、③けいはんな万博の状況、④本都市の現状認識ヒアリングの報告をもとに、ご出席者からさまざまな意見交換が行われました。

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 「新たな都市創造プラン」では、「イノベーションの強化」、「学術研究成果の広域展開」、「交通ネットワークの構築」の課題への取組を推進しています。今後も本プランに基づき、①地域の多様な企業や教育機関、団体等が相互に活用し合い、便利で住みよい持続可能な新たなまちづくりに向け、都市機能や交通形態、地域交流の充実化に積極的に取り組んでいくこと、②先端的な研究機関などが多数集積する地域の特徴を活かして、「けいはんなイノベーションハブ(仮称)」を構築し、「世界トップレベルの研究開発型オープンイノベーション拠点」形成に向けた取組を着実に進めること、③来年の「けいはんな万博」の開催に向けて関係機関と連携を進め、さらにポスト万博シティと次のステージプランに向けて検討を進めていくことが、本総会にて確認されました。その他、頂きました意見については、今後の都市運営の参考にさせて頂くとともに、具体的な提案については、関連機関と調整を進めてまいります。

<顧問・委員からの主なご意見要旨> ※同義の意見は割愛しています。

1.けいはんな学研都市の近況について

  • 狛田東地区や南田辺西地区では着実に取り組みを進めている。ますます高まる学研都市への企業立地ニーズの受け皿として、さらなる発展につながるものと期待している。
  • けいはんな学研都市の発展を後押しすべく、学研都市連絡道路となる国道163号の精華拡幅および清滝生駒道路、国道24号城陽井手木津川バイパス、京奈和自動車道の整備を、今後も着実に進めていく。
  • 学研都市への鉄道アクセスやクラスター間接続など公共交通の課題改善に向け、学研都市の京都府域に限定した調査、計画策定に取り組むにあたり、地域公共交通協議会を立ち上げ、公共交通の将来像と具体的な取組方策を明らかにしていく。
  • 情報インフラが整備された状況で、さらなる研究開発を促進していくには、バス等の交通インフラを充実させ、人の交流活性化を図ることが重要ではないか。
  • 昨年度の経済対策・補正予算において、社会資本整備総合交付金の制度拡充を行っており、産業立地に必要なインフラ整備の支援を、これまでより柔軟に行えるようなったことから、今後のクラスター整備において、こういった新たな仕組みが活用できるのではないか。

2.イノベーション推進について

  • けいはんな学研都市を、地域におけるイノベーション創出という極めて重要なプレイヤーと認識している。
  • 共創の場形成支援プログラムにおいて、産学官共創拠点の形成を通じたオープンイノベーションを推進している。
  • KGAP+のようなグローバルにスタートアップ連携を促進する取り組みは、今後の日本の国力の増強につながる。地元けいはんな発のスタートアップも積極的に参画し、万博でアピールできればいい。
  • AIやBeyond 5G、宇宙開発関係技術や量子暗号通信など、重要な最先端技術の研究を推進しており、関係プロジェクトへの積極的な参画、貢献を期待している。
  • 継続的なスタートアップ支援と、実効性を持った活動を展開し、けいはんなにとどまることなく、他の地域との連携を意識していきたい。共催セミナーやKGAP+、グローバルビッチイベントへの協力など、けいはんなにおけるイノベーション促進に向けた連携を強化していく。

3.けいはんな万博の状況について

  • けいはんな学研都市の特徴である最先端のテクノロジー、サイエンス、教育と芸術を融合させて魅力を発信したい。
  • 多言語翻訳技術など来年の万博での活用も見据え、AIによる同時通訳を実現する研究開発の最終段階にある。けいはんな発の先端技術が万博で活用されるよう、研究開発を推進していきたい。
  • 大阪・関西万博、けいはんな万博を通して、これからの科学技術の進展のためにも教育、人材育成に努めていきたい。
  • 地域の機関と交流、連携をより充実させ、しっかりアピールしていきたい。
  • けいはんなをもう少しPRするには、けいはんな万博の計画を着実に実行し、世界にこの地域の状況を知らせることが重要で、これからの大きな発展の節目になる。

4.その他(けいはんな学研都市について)

  • 未来社会に向けたデザインをこの地域から起こし、人々が集まる素地作りを始めていきたい。さらに技術、システムについては他地域にも展開できるよう、相乗効果を図り、エリア全体の魅力アップにつなげていきたい。
  • 先進的な科学技術や新しい産業の創出を図り、都市の整備促進だけでなく、新しい価値や文化の創造などを進めていきたい。
  • 全国にフードテックは多数あるが、奈良と京都は文化、特に食文化、発酵食品が他にない強みだ。文化を意識しながらフードテックをけいはんなとしてアピールしていきたい。
  • 科学技術に重点が置かれているが、国宝や重要文化財、歴史に恵まれた地域でもある。また農業をベースとした土着文化が残っており、それらを併せ持ちながら次の計画を考えなくてはならない。
  • ポスト万博シティの情報発信に一層、積極的に取り組んでいきたい。
  • 新たな都市創造プランは9年目に入り、次の10年に向けた準備が必要な時期になっている。現状等について共有し、今後の学研都市の目指すべき姿、あるべき姿について、議論を進めていきたい。
  • 2050年さらにその先を見据えつつ、概ね10年間の関西のあるべき国土の姿として新たな関西広域地方計画を策定している。けいはんな学研都市は、現行計画の中でイノベーション拠点として位置づけており、今後も関西の成長エンジンとしての取り組みを重視していきたい。

以上