会場には師走の多忙な中、約50人の方に参加いただき、世の中に存在するさまざまなデータ、いわゆる"ビッグデータ"を、どのように捉えて分析・活用するのかをテーマとして、3部構成の講演を行いました。
各講師の先生方からは、専門分野を踏まえつつ、参加者への理解が深まるようにわかりやすい表現を用いてお話しをしていただき、今後のビジネスに役立つだろう、多くの気づきをいただくことができました。
滋賀大学データサイエンス教育研究センター長の竹村彰通氏は、来年4月に国内においても特徴的なデータサイエンスの専門家養成を目指す学部の新設を踏まえて、データ取扱いに関して、海外の大学では"統計学部"が数多くある一方で、日本ではないことや、海外のデータサイエンティストは、学生の就職も引く手あまたであり、高い報酬をもらえる場合が多いが日本ではそうでもないなど、諸外国と日本との違いや課題、また今後の大学における人材育成の構想とともに、日本においてもデータを取り扱う人材養成の重要性をお話しいただきました。参加者からは、すでに社会人になった企業人の人材育成も同様のプロセスを応用することで良いのか、また自ら改めて学びなおす機会や場所が現在もすでにあるのかなど、データサイエンスへの関心の高さを感じさせる質問が、数多く出されました。
次いで、(国研)情報通信研究機構の鳥澤健太郎 データ駆動知能システム研究センター長からは、けいはんな学研都市にて取り組まれている先端研究の一端について、具体例を挙げながら説明していただきました。説明では、すでに公開され、先の熊本地震でも活用された "DISAANA"システムのデータ分析方法などを例に、基本となるデータベース作りでのご苦労や、課題の設定やマネジメントの工夫も凝らしつつ、少数精鋭で数々の実績を積み上げて先端を研究している状況について紹介が行われました。参加者からは、ビジネスへの活用に向けた質問などが出され、研究機関として連携や共同研究にも取り組んでいることが説明されました。
3つめは、東京に本拠を構え、口コミデータの解析など、実際のビジネスをすでに展開されている株式会社バズグラフの西本光治代表取締役とビジネスパートナーである株式会社エスペラントの木村礼壮代表取締役社長から、ビジネス現場での活用のポイントを紹介していただきました。 講演では、木村氏が、世の中にある大量のデータ、いわゆるビッグデータを活用してイノベーションを図る要点を中心にお話しいただきました。その中で、情報を待つのではなく、集めて、整理・解析し、仕事の上で目的を達成するために必要となる"意味のある情報"として加工すること、また、その情報を他者にわかりやすく伝え、活用することが重要とし、こうした取り組みが、他との差別化の大きな力になることをお話しいただきました。 また西本氏からは、日々出現しているさまざまな情報の"出現数"の変化を捉え、その動きが生じる要因を探るなど分析をすると、ビジネスを進めるうえでの気づきや今後の傾向がある程度予測できるなど、仕事のうえでヒントとなるエピソードを、今話題のTVドラマ出演者やタレント人気等を事例を基に、わかりやすく解説をしていただきました。
フォーラムの概要
先端シーズフォーラム 「ビッグデータの利・活用が拓くAI、IoTなど 新たな価値創造の可能性」
開催日時 |
平成28年12月7日(水)14:00~17:00 |
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場 所 |
鉄鋼会館 5・6号会議室 |
主 催 |
(公財)関西文化学術研究都市推進機構 |
共 催 |
(公社)関西経済連合会 |
講演 第1部 |
「データサイエンティスト育成のための大学教育 -滋賀大学データサイエンス学部のモデル-」 |
講演 第2部 |
「社会全体の知の分析に向けて」 |
講演 第3部 |
1)「ビッグデータの利・活用が拓くイノベーションの世界」 2)「クチコミ解析の実際例-変化を捉える-」 |