令和元年11月11日(月)にグランフロント大阪にて、けいはんなR&Dイノベーションフォーラム2019を開催しました。R&Dイノベーションコンソーシアム会員、Clubけいはんな会員、及び一般の方々を含め、参加者は115名に達しました。
<プログラム>
◇コンソーシアム活動状況について-けいはんな公道走行実証実験プラットフォーム 他-
丸野 進 関西文化学術研究都市推進機構 RDMM支援センター長
◇セミナー講演Ⅰ 『脳型処理の基本原理と個性を生み出すメカニズム』
乾 敏郎 氏 追手門学院大学 心理学部 心理学科 同大学大学院 心理学研究科 教授
◇セミナー講演Ⅱ 『2050年、未来のAIの姿-社会課題の解決にむけた政策提言を通じて』
福田 幸二 氏 日立京大ラボ・主任研究員
◇閉会御礼
中川 雅永 関西文化学術研究都市推進機構 常務理事
フォーラムの冒頭で、丸野進RDMM支援センター長よりコンソーシアム活動とその成果に関する一般向けの紹介が行われた後、「ポストAI; 技術の未来、未来の社会は?」をテーマに2名の講師よりご講演を戴きました。
追手門学院大学の乾敏郎教授からは、「脳型処理の基本原理と個性を生み出すメカニズム」の演題で、知覚能力、運動能力、コミュニケーション能力といった個性がどのように生み出されるかを、認知科学情報処理における最先端理論※をもとに平易に説明していただき、脳内における予測モデルをもとにしたAIの未来についても貴重なお話しを伺うことができました。
※fMRI データを用いた脳画像解析手法 "Statistical Parametric Mapping" を開発したことで有名なK.Fristonが2010年に発表した脳理論の統一原理 "The free-energy principle"をさしており、脳は外部状態を脳内イメージとしてモデル化すると同時に、知覚情報や運動情報に対する脳内イメージとの予測誤差をより小さくする方向で常にモデル修正をおこなうメカニズムを有しているというもの。
乾 敏郎 氏
日立京大ラボの福田幸二主任研究員からは、「2050年、未来のAIの姿 -社会課題の解決にむけた政策提言を通じて」の演題で、2050年に向けて持続可能な社会のあり方について、人口、財政・社会保障、都市・地域、環境・資源、幸福観がどのように変化してゆくかを、AIを用いて2万通りにおよぶシミュレーションを実施した結果、未来の社会は2050年に都市集中型と地方分散型に大きく分かれる事、後戻りできない分岐点(Point of No Return)が今後 8年~10年後に訪れる事、財政/環境政策によっては持続不能なシナリオの発生もありうることを教えて戴きました。また、未来のAI自身は決して人に対峙するような独立した人格を持つものではなく、個人の思考能力を支援する役割を担うようになるであろうという未来のAIの姿に対する貴重なご意見も伺うことができました。
福田 幸二 氏